祖父菊池寛と孫コラボの1冊から | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 537

祖父菊池寛と孫コラボの1冊から

(前号から続く文章)
人生の重大事についても、これと同じことが言えるかもしれない。
中途半端に書いて、読者の後味が悪いかもしれないが“人生”の前に何行かある。先週から引き続いているのだから、先週のブログを読んで欲しい!

…人生の重大事についても、これと同じことが言えるかも知れない。

一、人への親切、世話は、慰みとしてしたい。義務としてはしたくない。
一、自分に好意を持っていてくれる人には、自分は好意を持ち返す。悪意を持っている人には、悪意を持ち返す。
一、作品の批評を求められたとき、悪い物は死んでもいいとは言わない。どんなに相手の感情を害しても。だが、少しいいと思う物を、相手を奨励する意味で、誇張して誉めることはする。

次に祖父菊池寛が上梓した『日本競馬讀本』の「我が馬券哲学」から名言と言われそうなモノを拾ってみる。競馬に関して書かれているが、人生のあそび心として読むと頷ける事が多い!

一、馬券は尚禅機の如し、容易に悟りがたし、ただ大損をせざるを以て、念とすべし。
一、なるべく大なる配当を獲んと、配当はともかく勝馬を当んとする本命主義と。
一、堅き本命を取り、不確かなる本命を避け、たしかなる穴を取る。これ名人の域なれども、容易に達しがたし。
一、穴場に三、四枚も札がかかると、もう買うのが嫌になる穴買主義者あり、これも亦馬券買いの邪道。
一、穴場の入口の開くや否や、傍目もふらず本命へ殺到する群集あり、本命主義の邪道である。他の馬が売れないのに配当金いずれにありやと訊いて見たくなる。甲馬乙馬に幾何の投票あるゆえ丙馬を買って、これを獲得せんとするこそ、馬券買の本意ならずや。
一、二十四、五円以下の配当の馬を買うほどならば、見ているに如かず、何となれば、世に絶対の本命なるものなければ也。
一、然れども、実力なき馬の穴となりしこと曾てなし。

50頭くらいの馬を持った祖父、『日本競馬讀本』の著者祖父が得た哲学です。まだまだ名言が続きますので、頁の関係で次週に続けますね!