閉門即是深山 427
美しき景観
私の住むマンションの周りは、以前は隅田川の河口だけあって多くの桜が密集しています。後から植えたらしい小さな桜もあれば、何十年も楽しませてくれただろう大木もあるのです。わざわざ千鳥ヶ淵やら目黒川のほとりやら、上野公園や新宿御苑などの桜を見に行かなくても、外に出れば桜並木なのです。桜の木は、花びらが散り、青葉になっても綺麗なものです。日本は、どこに行っても美しい!公園やお庭の様式は、よその国とは異なりますが、人間が丹精込めて、愛情を込めて造ったモノは、自然とは別に美しいですね。
世界も同じでしょう!全世界を私はこの目で見てはいませんが、花のパリも橋の唄で有名なフランスのアヴィニョンもロンドンもダブリンもヴェネチアもローマもアメリカのクリスマスツリーで有名な公園も名も無いけれど、ついでにゴルフも出来る公園もバンコクもスペインであの有名なギターの曲が思い出される宮殿も英国の頃の香港も台湾、インドネシア、きりがありませんが皆、住民が創る街は、美しいのです。
もちろん家々も国によって違います。日本だって江戸時代に建てられた古民家も明治や大正に建てられた西洋風の家もみな飽きることなしに美しい!美しいというのは、人間にとって格別なものなんですねぇ!スペインの見渡す限りのひまわり畑、美しかったなぁ!カディスにあった教会は、異国情緒たっぷりでもう一度観たい所です。坂の途中にある小さな家だって美しかった!セビージャの祭りで庭にお客を呼び込んで踊るセビジアナス。ドイツの丘の上にある教会から下を観るとドナウ川の流れが観えました。その国の人々からすれば当たり前かもしれませんが、外人の方々からすれば、皇居や浅草寺、苔寺や金閣、銀閣寺、日本に来たなぁ!と思って観ているに違いありません!
そうそう清水寺も忘れてはいけませんねぇ!奈良の鹿のいる公園、なんて言いましたっけ、小学校の修学旅行で行きました。海に赤い鳥居がある大きな神社、長崎で有名な教会!“おどんみゃ島原の~♬”隠れキリシタンの家、美しかった~!パリのセーヌの流れに沿って有名な教会が焼失してしまいましたが、同じような建物にして欲しいですねぇ、だって横の路地にはずらりと並ぶカフェ、人々!その姿だって美しいですから!美しいモノを奪ってはいけません、人間の癒しは、美しさにあるのですから!
北から東から攻め寄せて、美しいはずの街が、今、瓦礫化しています。公園だったかショッピングモールの駐車場だったか区別のつかない状態なっているんです。マンションの前にある公園は、そこに住んでいた人たちの墓場になっています。ついさっきまで格好よく走っていた車が鉄くずです。路には、壊れたロシアの戦車が立ちすくんでいます。
私は、ウクライナに行ったことがありません。が、瓦礫となる前の写真を見るたびに何と美しい街なんだと溜息が出ます。そこには、何代も渡った丹誠や愛情があったからです。誰も“美しいモノ”を壊す権利などないはずですが、日本も発展のためと言いながら美しい建物や庭を壊してきました。もう同じモノは造れないのですから、壊してはいけないのです。誰にも美しいモノを壊す権利はないのですから!貴方の街だって!