大唐西域記 | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 425

大唐西域記

…なんて知ったかぶりをしてしまいましたが、タイトルは中国で16世紀、明の時代の白話小説『西遊記』の基になったもので、629年頃~645年に出来上がったお話らしいのです。

『西遊記』は、皆さん御馴染みですよね、若い人にはアニメがありましたし、1978年(第Ⅱ部 1979年)に日本テレビで夏目雅子が玄奘三蔵の役になり白馬玉龍にまたがり、今のインド・天竺に尊いお経を頂きにあがるドラマは、私なんかつい最近観たような気がしますもの。お話の『西遊記』には、三蔵法師さまだけの旅ではありませんね。御供に、暴れん坊でお釈迦様から叱られて五百年も五行山に拘束されていたお猿さんの孫悟空と、その悟空と一騎打ちをして法師の旅のお供をすることになった豚さん猪八戒、そして、河童の沙悟浄、テレビでは、ゴダイゴがオープニングには「モンキー・マジック」を、エンディングテーマは「ガンダーラ」を歌っていましたっけ!
孫悟空を堺正章、沙悟浄を岸部シロー、猪八戒を西田敏行が演じていましたね!天竺から尊い法典を妖怪と戦いながら玄奘を守った3妖仙+白馬は、最後に観音様から悟空は“三神仙”、猪八戒は“猪悟能”、沙悟浄は“沙和尚”、そして白馬の玉龍は“八部大竜”というお名前を頂いたと聞いたことがあります。

実は、玄奘三蔵は実在の偉いお坊様!三蔵とは「経蔵」「律蔵」「論蔵」を伝訳したお坊さまのことで、沢山いたのですが、天竺からサンスクリットの“音”でもらったお経を“音”のままに漢字にあてて中国の法典を書かれた有名なお坊様のひとりが、この玄奘三蔵法師で、観音様を「観自在菩薩」と書かれ、鳩摩羅什(くまらじゅう)三蔵法師は「観世音菩薩」と音訳されました。「菩薩」は、サンスクリットで「ボッサー」といい、「ボーディ・サトヴァ」の音訳「菩提薩埵(ぼだいさった)」の略なのです。お釈迦様は「全てのものを救うまで仏陀にならず、修行の身の菩薩でいる」とのお考えのひとつです。菩薩も如来もみな仏陀おひとりの心の中なのですね。だから仏像に、千本も手があったり、頭に沢山のお顔があったり、きっとそれを知ってほしかったのでしょう。

話が逸れました、私は猪八戒(食欲)も沙悟浄(性欲)も孫悟空(権力欲)も、みなが玄奘三蔵法師の中にもあって、尊い仏典を天竺から持って来られると困る妖怪・妖仙の輩が人間の持つ大きな強欲権力欲・食欲・性欲で玄奘三蔵を誑かそうとしたのではないかと思うのです。さすがに尊いお坊様でも強欲には弱い!そこで、自在に観ることの出来る、また世の音を観ることの出来るスーパーマン的存在の観音様が法師に強欲に勝てる力を持たせたのではないでしょうか?なぜ、権力欲の象徴孫悟空が五百年も五行山に拘束されたかって?三大強欲で一番悪いのが権力欲だからです。
ロシアで権力欲の亡者と化したプーチンは、ウクライナの多くの人々、そして、自国のロシア国民まで悲しませ、世界の人々まで苦しませたのです。きっと仏陀の心の中は、人々への慈悲とプーチンへの哀れみで一杯でしょう!観音様がこの世に来て、プーチンを五行山に拘束して下さる日は、いつになるのでしょうか?