危機 | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 420

危機

先週3連休の前の木曜日だった。前日から東京は大雪になるかも知れないという予報が出ていた。が、行かねばならぬ!中は半袖、外は厚着、傘は両手を空けておかねば危険な年齢だから、折り畳みの傘。その代わりにフードが付いた雨風、雪でも大丈夫な姿をしなければならない。そんなモノ持っているかな、あれを着て、あれを被って、私は頭の中で色々と考えた。そうだ、大切なモノの確認を忘れていた。確か、財布を入れて持ち歩くショルダーに入れておいたはずである。パンパンに膨らんだショルダーバッグを開けるのが憂鬱である。
 
朝晩、毎日、しょっちゅう開け閉めをしているファスナーだが、なにせ中に入れてある財布が分厚い。金でもたんまり入っているなら良いが、医者や床屋、珈琲や本が買えるくらいの小遣いが入っているだけ、後は、プラスチック製の診察券や映画のポイントカードが山ほど、それでも財布に入らないカードは、百均で買ったカード入れに入れて、詰め込んである。やはり百均で買ったマスクケースやお薬手帖も万一の場合を考えて詰め込んであるから、財布を出し入れするのも大騒ぎだ。
そんなショルダーに区から送られてきた第三回目のコロナワクチン接種のご案内状を入れたものだから、ファスナーが閉まるか否かも問題だった。やっと入れたことは思い出したが、接種センターに行って無かった!となれば後が厄介だ。それに自己証明のための何かも必要らしい。こんな時、自分の年齢を嫌でも思い出す。年をとると厭でも確認せねばならない。

接種の場所までバスで20分かかる。大雪だったら、オミクロンで倒れる先に、滑って転んで頭を打って倒れてしまう。憂鬱を抑えてショルダーのファスナーを開く、ゆっくりと壊さないように、紙を少しでも挟まないように!ありましたよ、ひと月も前に届いた接種券が封筒に入れたまま、ひと月も肩からぶら下げていたことになる。それだけではなく、パンパンの財布を開けねばならない。いつ何処で貰ったかも知れないポイントカードの山の中を手探りして見つけた運転免許証を一番手前に差し込んだ。

雪ではなく、本降りの雨だった。こんな時は、あまり老人は来な・・・来てる。私も含めて、命がもうじき尽きるだろう老人たちの山。早く行けば、それだけ早く帰れると思ったのが間違いだった。1,2回目までは、痛くも痒くも無かったが、今度はそうはいかなかった。友人は、お前の肉体が若いからだ!年齢不相応な筋トレが原因だ!と揶揄するが、熱は出ないにしても体の中が寒い。財布も寒いが、いくら上着を着込んでも体の中が寒かった。

だるい2日間!ニュースでは、ロシアの動きを報道している。第3次大戦でも起きれば、中国も香港、台湾を巻き込むだろう!北の国も乗じる!戦争を停めるワクチンは、ないものだろうか?チャンネルを変えると北京でのオリンピック、アメリカ、台湾、中国、そして、ソビエトのIOCの旗がたなびく、もう76歳の頭では理解不能な状態です!