閉門即是深山 407
私の海馬
今、このブログを書くためにパソコンの前に座っている。
いつもならば、オフィスに入る前に喫茶店で珈琲を飲みながら話をまとめて来るのだが、まったく思いつかない時がある。何せ、毎週書いているのだからネタがない時もある。そこで、パソコンの前から立って表に出た。オフィスビルの隣にコインパーキングがふたつある。その周りをグルグルと歩いていたら、ふと昨日のことを思い出した。
私は、昨日の昼間ドラムの自己練習のために週2回、3時間ずつスタジオを借りている。月に一度バンド仲間と練習するスタジオは新横浜だが、個人練習のためのスタジオは、私の住む最寄り駅から1本の所にある。75歳の身体を引きずって乗り換えて往復するのは、いくらなんでもメンドクサイ!それでも、歩くだけで1万歩はあるのだから、年寄りにとってドラムを入れなくても良い歩数である。
スタジオには、みなが使えるドラムが置いてあるが、自分の癖に合わせて位置を調整し、後で音楽に合わせて叩けるようにミキサーから私の曲を流すために配線を用意する。この作業だけでも20分はかかる。さて、と、ドラムの椅子に腰をかけ、右足をバスドラムのペダルにのせ、左足をハイハットのペダルにのせ準備万端、手慣らしに30分以上かける。
まず、フォービートからエイトビートに切り替え叩く。次に、4小節の中の最初の1小節の1番にアクセントを入れ叩く、2小節目は2番にアクセント、3小節目は3番に、4小節目は4番にアクセントを入れる。アクセントは、2番と4番が左手になる。次の練習は、パラドルといい右手と左手を順番に同じように叩く!次が3連符。これもストレートやロックやジャズ、またアクセント入りといろいろある。
一番易しそうで、難しいのがダブルストロークでこれを練習した後、技術の練習に入る前に休憩を取った。スタジオの周りの散歩だ!が、昨日事件が起こった。
スタジオのコインパーキングの周りにパトカーが何台も停まり、警察官が動き回っている。私の好奇心が熱を持ち出した。まだ、規制線が引かれたわけではない。正面から覗いた。駐車場に入ろうとしたのか1台の車が車止めを乗り越え黄色の鉄の柵を薙ぎ倒し、後ろに駐車している車の横っ腹にぶつかっている。ぶつけられた車は斜めになり、その隣に停まる車を凹ませていた。
運転席には、眼鏡をかけた60代だろう男性が茫然自失の状態でハンドルに手を置いている。自分でも何が起こっているか解らない状態のようだ。練習の帰りに、そのパーキングに寄ってみた。車は運ばれたらしく、もう無い。事故のあったスペースには、赤いコーンが2つ「使用不可」とある。終わったかと思うと、後ろでぶつけられた車の持ち主と思しき人が茫然と自分の車を見ていた。左右のボディーがボコボコになっていた。
昨日こんな事件があったのに、すっかり忘れていた私の脳の海馬はいったいどうしたのだろう!
海馬は、エピソードを記憶する場所らしい。ギリシャ神話に出てくるポセイドンがまたがる馬、海馬の前肢に似ているためにイタリアの解剖学者によって付けられたようだ!