筋電メディカル| 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 362

筋電メディカル

題名を読んでも、なに?これと、思う方が多いのではないでしょうか。
「筋」は、人の筋肉のことです。「電」は、電気のことです。「メディカル」は、メディカルのことです。えっメディカルって、そのまんまじゃん、と仰る方もおいでになると思います。少し言葉を変えて言えば「医学の根拠(エビデンス)に基づいた健康資産づくり」なのです。

この「筋電メディカル」の考えは、京都大学名誉教授と京都産業大学・中京大学の客員教授でもある森谷敏夫博士が考案し、その名を造語に作りました。森谷博士は、筋肉とのかかわりを遠く学生時代までさかのぼって話されました。

当時は体操選手としてオリンピックを目指していたのです。全日本体操競技選手権団体総合で第2位になったこともありました。そのころは、もうオリンピック出場は夢ではなく、ご自分の中では、リアルな事になっていたのです。ところが、大学三年生のとき、自分の運命の全てをかける事件が起きたのです。
練習中に鉄棒から落ちたのです。落ちる事は、日常茶飯事、体操の選手なら当たり前の事です。が、この時の怪我は、尋常では無かったのです。この怪我で、森谷博士は、体操の選手生活を諦めざるを得なかったのです。

体操の名門中京大学体育部を卒業した博士は、オリンピックを諦めざるを得なかった悔しさから、スポーツ医学が世界一進んでいるアメリカで学ぶことを決心しました。そして、南カリフォルニア大学の大学院へ進んだのです。そこから、運動生理学を学ぶ研究者として新しい道に一歩を踏み出したのです。

筋肉をターゲットとして研究していく内に、博士は、いろいろな世界が見えてきたそうです。森谷博士は、言います。「筋肉を動かしているのは脳です。脳と筋肉は、神経で繋がっている。筋肉を動かすにはエネルギーが必要だから、心臓を中心とする循環器系がどういう仕組みでエネルギーを供給しているか、知っておかねば」「大学での私の恩師にあたる運動生理学の権威・デブリーズ博士は、運動生理学は全てサイエンスのメルティングポットだよとよく述べていました。

メルティングポットとは、“るつぼ”の意味です。多様民族が互いに融合し、民族ではなくアメリカ人という一つのアイデンティティを持とうという融合論なのです。アメリカの社会的文脈の中では、そうスラングでは“人種のるつぼ”の意味です。医学だけ、運動力学だけ学んでもダメだし、心理学を含めて、視野の広さが何よりも求められるのが運動生理学の特徴なのです。

運動と筋肉を中核のキーワードにすれば、運動と認知症、運動と肥満、運動と食欲……どんな組み合わせでも確実に新たな知的刺激がえられる」と。その結果森谷博士は、「筋電メディカル」に辿り着きました。逆に「筋肉」を電気を使って動かせれば、認知症でも、肥満でも、循環器系の病でも、生活習慣病と言われている病も全て正常に戻すことが出来る。発想の転換ですね!

歩く運動さえ出来ない老人も筋電メディカルさえ装着すれば、認知症や心臓病、肺などの病から救われ、もらった命を楽しく永らえることが出来る。これが、博士の望ではないでしょうか?私は、齢74歳になります。もちろん筋電メディカル考によって造られたモノで認知症予防をしています。