閉門即是深山 294
春々堂
このタイトルを以前、使ったかも知れない。忘れてしまった!
私は、ものを考え、書く時は、電子タバコを吸いながら、珈琲を飲みながら、ボーッとしている。あんな事あったなぁ、こんな事あったなぁ、と妄想の世界を巡って、ふとこの話なら文章になるかも知れんのうと、思った時に直ぐにタイトルにする。タイトルが私の書く羅針盤になるからだ。書いてみてあまりにも話がタイトルから離れていれば、タイトルを変えればいい。もし以前に春々堂というタイトルを使ったことがあれば、これは春々堂2である。
春々堂は、飛ぶ鳥を落とす!順風満帆!人気絶頂!四面楚歌!岡目八目!老人介護!今、一番人気のある噺家・落語家さん、春風亭小朝師匠の事務所の名である。何年か前に、師匠が私の祖父・菊池寛の小説を落語化するという話の時から知り合いになった。もう10本以上菊池寛の短篇作品を落語化して下さっている。
始めは、こんなに人気のある師匠とは思っていなかった。
私は、子供の時から落語が好きで、まだ人形町に末広亭があった頃に通ったものだ。
金馬師匠、志ん生師匠、小さん師匠、初代柳亭痴楽師匠、板敷きに座布団、煙草盆、良かったねぇ、上手かったねぇ、面白かった!時代は変わって、古今亭志ん朝師匠と仲良くなった。神楽坂の小料理屋、粋だったねぇ!話が尽きなかった。今、小朝師匠は、結構なはにかみ屋、色気があって、今の若手には真似も出来ない粋、伊達姿。もう出ないね!今の人に「粋」と言っても「伊達」と言っても、「は~ぁ?」が帰ってくるだけ。テレビ番組を安く作ろうとして吉本興業の人たちばかり番組に使っているうちに「闇営業」が横行する。無期限謹慎、追放、無期懲役となる。数人を覗けば、粋や伊達なんか知らん芸人ばかりである。
「第三回春風亭小朝独演会」が新橋演舞場で行なわれた。大入りである。演舞場と言えば、歌舞伎座と同格。歌手が武道館を満席にさせるのと同じだが、歌舞伎座も演舞場も、格式があり、粋があり、そこには、伊達もある。
開口一番は、三遊亭王楽、「笑点」でお馴染の三遊亭好楽の息子、円楽の一門。サン=テグジュペリの『星の王子さま』から名を頂戴したらしいが、色気が無い、伊達じゃ無い!一門が一門だけに、毒舌ではあるが、毒舌に粋さや伊達さがなければ、ただの毒しかのこらない。
良いねぇ、小朝師匠の「算段の平兵衛」。古典の味がプンプンとする。仲入りの後の小朝師匠の「井戸の茶碗」長く聴きたかったねぇ。
私は、食べなかったけど「仲入り」の時にお客が食べてた「幕の内弁当」旨そう!本当の幕の内だもの。これこそ食べなきゃ!しかし、連れが終わってから何処かで軽く、というものだから我慢した。幕の内は、幕の内に喰うもので、新幹線で喰うものでは無いのだよ!結局帰りにスタバ、トホホホ!
12月24日火曜日に新宿紀伊国屋ホールで、小朝師匠の『菊池寛が落語になった日』があるらしい!