命 | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 285

「人間は何処から来て、何処へ行くのか?」
知恵を持った人間は、イの一番に考えたに違いない。昨年の暮れのこのブログでも書いたが、ダン・ブラウンの近著『オリジン』もこれがテーマになっている。

オリジンは、起源と訳す。科学の進化の中でどうやら生物は、宇宙の地球外の星の爆発により、その一部やエネルギーなどによって元素が付いたり離れたりしながら、生命を生み出してきた。が、現在の定説のようだ。その後は、ダーウィンの法則「進化論」により、今我々も含め我々の眼に触れる生命体があるのかも知れない。さて、何処に行くのだろうか?
私の仲の良い友人は「炭素になるんだ!」と言う。確かに火葬すれば、人間も他の動物も炭素になる。また、そのまま土に埋めても土になり元素に戻って行く。それは、亡きがらにおいてである。亡きがらの前に命は尽きる訳だから、その命は、何処に行くのだろう?

お釈迦さまの言葉を弟子たちが、一生懸命書き綴ったものが法典である。『西遊記』に出てくる三蔵法師は、実在していて玄奘三蔵、もうひとりそのころの法典の訳者で鳩摩羅什(くまらじゅう)三蔵という人がいた。
法典は、古代インドのサンスクリット語で書かれていたので、それを中国語で漢字に当て字するのに、ふたりの訳が少々分かれる。
判り易い例で言えば「観音様」である。玄奘三蔵は「観自在菩薩」と訳し、鳩摩羅什三蔵は「観世音菩薩」と書いている。菩薩は、サンスクリット語でボサーを漢字に当てたモノで、仏陀の心の中に、まだ修行中の部分があるので、それが完成した時に仏陀になるという志の現れ。観音さまは「全てが幸せになったあかつきに仏陀になる」という仏陀の気持ちなのだ。未だ「幸せ」にならない者があれば、菩薩のままで居らっしゃる。インドの法典を中国でもっとも文字数が少ないお経に変えたのが『摩訶般若波羅蜜多心経』すなわち『般若心経』である。偉大なる「仏の智慧」で、悟りの岸「彼岸」に往かせて頂く(渡らせて頂く)大切な経典と言うことであろうか。
話は、観音様(仏陀の一部)と高弟子の舎利子(舎利弗)の会話でなりたっている。「舎利子。色不異空。空不異色。色即是空。空即是色。受想行識。亦復如是。~」
私なりに解釈すれば、観音様が「舎利子よ、目に見えるものは、即ち、是れ、実体の無いものである。そして「実体の無いものは、即ち、是れ、目に見えるものなのである。」続けると「深い般若波羅蜜多」という行をしていた刹那、五つの心のメカニズムは、全て「空なり」と輝き照らされて見えて、一切の苦厄を救われた。舎利子よ、目に見えるものは、即ち、是れ、実体のないものである。そしてだから、実体のないものは、即ち、是れ、目に見えるものなのである。

さて、ニュースでは、6つの望遠鏡、月のゴルフボールも見える望遠鏡で、ブラックホールを人間は見つけた。命の往き場所は、ブラックホールの中なのか?

 


追伸・読者の皆様へのお知らせ

■ラジオ番組
私の祖父・菊池寛の著作『満鉄外史』(原書房刊)がNHKラジオ第2で全40回にわたって朗読されます。タイトルは、朗読「菊池寛~満鉄外史~」です。放送日及び再放送日、番組ホームページ(NHKラジオ第2文化番組)でも聞けます。日時を列挙いたします。お時間のある方は是非に!

放送日:6月3日(月)~7月26日(金)
午前9時45分~10時の15分間
再放送:6月8日(土)~毎週土曜日
午後9時45分~11時(月~金一挙放送)
NHKラジオ第2 文化番組ホームページ
https://www4.nhk.or.jp/roudoku/

 

■講演会
①令和元年 7月15日(月曜日)午後1時30分より
場所:山形県鶴岡市 鶴岡公園内 荘内神社参集殿
演題:「菊池寛 仇討小説の裏側」
主催:鶴岡市立藤沢周平記念館
入場無料 葉書で当記念館に応募 定員200名
締切:6月20日消印有効

②令和元年 7月27日(土曜日)午前11時より
場所:高松市菊池寛記念館ホール
香川県高松市昭和町1-2-20 サンクリスタル3F
お問い合わせ:高松市菊池寛記念館
電話 087-861-4502
詳細は、高松市菊池寛記念館ホームページにて
http://www.city.takamatsu.kagawa.jp/kurashi/kosodate/bunka/kikuchikan/index.html