閉門即是深山 262
清し~♪
この夜~♫ もう幾つ寝るとクリスマス~ぅ!
真っ赤な三角帽子をかぶって、真っ赤な顔をして、真っ赤な紙袋にクリスマスケーキを入れて、ほろ酔いかげんで銀座や新宿、多くの盛り場を覚束ない足どりで家路に向かうオヤジたちの光景を久しく見ていない。
駅のそばで堆<うずたか>く積まれたクリスマスケーキを早く売りたくて、大声で「ケーキですヨ~!クリスマスケーキ、まだありますヨ~ぅ!」とサンタの格好をしたアルバイトの学生も見なくなった。
教会に行って「父と子と聖霊の御名によりて~」「天にまします我らの父よ~」手を合わせて、ミサに参列する人たちも日本ではさほどいるとも思えない。
小さな子供のいる家は、イブの夜、箪笥の奥や押し入れに隠して置いたプレゼントをそお~っと出して、寝入った子らの枕元に置いて、気が付かれないように部屋を出る。パパは、ママから「ぜったいに気が付かれないようにね!そ~おっ~とよ、ダメよ、起こしちゃ!」など言い含められているから、夕方から気が気ではなかろう。頭の中では、その「そ~おっと」のシュミレーションを繰り返しているのだろうか。子供が小さいうちは、まだいいが、小学校も高学年になれば「オヤジ!変なプレゼントはいらないから、金くれよ!」なんて言われて、味もそっけもない夜を過ごす。子供が独立すると、クリスマスなんてあったっけ!みたいになる。
その昔、外国映画で観たような、ふたりだけで老夫婦が手作りのケーキを食べ、シャンペンをポンと抜き、抱き合って美しい曲に合わせてダンスを踊るなんて光景、日本ではあるのかしらん!ミスター・トランプやニッサン・ゴーンは、やったかも知れないが、あんなの夢のまた夢!いつもと違うのは、食卓にスーパーかコンビニで買った鶏のモモ肉焼きがあって、となりにトン汁がある摩訶不思議な光景である。
孫からスマホやパソコンで「お爺ちゃん、お婆ちゃん、プレゼントありがとう!」なんて言われる方は、まだ幸せで、そんな光景を夢想して懸命にスマホやタブレットの使い方を教室まで行って習って来たにもかかわらず、ウンでもなきゃ、スンでもない。ハぁ~!
でも大丈夫、早寝をしないで待っててくれろ!
NHKラジオの第1放送(ふるいねぇ~!)NHKのラジオで充分通じるのに!今年のクリスマス・イブの24日の夜中というか、クリスマス当日早朝というか、0時15分から45くらいまで、国民放送局NHKの「ラジオ深夜便」という番組で私がお話します!たぶん、寂しさを忘れ、すぐに寝られると思いますよ~!