閉門即是深山 255
四国香川の高松
高松の近くには、良い温泉場がある。
こんぴら参りで有名な琴平の温泉もそのひとつ。大小温泉宿が軒を連ねている。食事が旨い。海の幸、山の幸はもちろんだが、香川牛の名産地でもある。
高松港から高速艇で約30分、小豆島もある。オリーブや映画『二十四の瞳』のロケ地で有名だが、丸金醤油の産地でもあるし、手延べそうめんの産地でもある。島の東北には、素敵なリゾートホテルがあり、以前行ったバリ島のホテル、フォーシーズンズホテルから見る日没の光景より美しい。静かな瀬戸内の向こうの岡山の黒い山並みに落ちて行く夕陽を、宿泊客全員がそろって拍手をする。仲間に入っている自分が幸せを感じる。もちろん素晴らしい夕食が付いているのに安く感じる。
高松は、うどんばかりではない。植松の美味しい「おてんぷら」がある。和三盆や瓦せんべいなど、お土産になる名物がある。何といっても魚と肉は最高である。
今年は、高松生まれの祖父「菊池寛の生誕130年・没後70年記念」が11月20日から12月26日の彼の誕生日まで続く。サンクリスタル高松の菊池寛記念館で企画展が開かれているし、行事も盛り沢山だ。
かわきりは、11月20日11時から私の講演「文豪を家族に持って」がある。11月23日は、14時からNHKのキャスターの朗読『恩讐の彼方に』、24日13時半から四国大学教授の「新出の菊池家文書から見る高松藩の学問と文人交流―菊池黄山―」の講演。12月6日は、やはり13時半より青山学院の教授によって「菊池寛の人と文業」の講演がある。
12月24日クリスマスイブの日には、13時半からソプラノ歌手宮本早苗さん、バリトン歌手大山晃さん、バイオリニスト西浦弘美さん、ピアニスト大山まゆみさんたちによって「菊池寛の聞いた昭和の流行歌~東京行進曲~」と、11月10日に開かれる日本ペンクラブの「ふるさとと文学2018菊池寛の高松」に続いて企画されている。
「菊池寛は明治21年に生まれ、19歳で上京するまで高松で暮らしました。「父帰る」、「恩讐の彼方に」、「真珠夫人」など不朽の名作を生み出した寛は、文筆活動の他に雑誌『文藝春秋』の創刊や、芥川賞・直木賞を創設するなど多くの功績を残し、現在の文壇の隆盛の礎を築きました。また、寛の先祖は代々高松藩の藩儒で、後藤芝山や平賀源内らを育てた菊池黄山や、幕末に漢詩人として名を馳せた菊池五山等、優れた儒学者を排出しています。本展では、菊池寛の生誕130年・没後70年を記念して、菊池家の御協力のもと、初公開となる菊池家所蔵の古文書や、寛の直筆原稿、愛用品、写真など数多くの貴重な資料を展示するとともに、多彩な公友関係やエピソードを紹介し、菊池寛の実像に迫ります。」(パンフレットより)。
もしも、暮れで忙しいよ!とか、ちょっと遠いなとおっしゃる方には、12月26日6時より新宿紀伊国屋ホールで春風亭小朝師匠の『菊池寛が落語になった日』があることをお伝えしておきます。