閉門即是深山 247
価値観が変わる?
「今まで経験したことが無い○○」
○○には、“猛暑”や“豪雨”“台風”“大水害”と、いろいろな言葉が入れられる。去年の夏も暑かったが、今年の夏は「人間を殺す」ほどに暑かった。
昨今、皆の口から「日本の良い季節が無くなったねぇ」とか「春や秋はどこに行っちゃったの?」とかいう挨拶を聞くようになった。
地球規模で考えたら、こんなことしょっちゅう起こっていたに違いない。魚は、海に垣根が無いから漁獲量の変化が判り易いが、日本に住んでいる動物や植物も大きく変化していくのではないだろうか?岡山県の特産物の桃も、この暑さで売り物になるような桃が出来なかったと聞く。梨もスイカも、胡瓜もキャベツも特産と言われた場所で、暑さ被害にあっているらしい。収穫量が少ないので、高値がつく。秋刀魚だって、昔良く獲れていたころは庶民の味方だった。庶民の味方だったニシンが獲れなくなり、ニシン御殿と呼ばれた網元の家も「今じゃ、オンボロになっちゃった!」という歌詞の唄が大分前に流行った。つい何年か前まで、8月半ば過ぎに行なわれていた「サマーセール」が今や7月で終わる時代なってきたのだ。
なにも1.5倍もするような野菜を食べなくても良い気がする。間違い無く「変化」が起こっている。無責任のようで農家には悪いが、桃だって岡山では生産出来ず、秋田や青森、北海道あたりで多く生産されるようになるのではないか。そして、来年の夏あたりもこのような“猛暑”になるならば、我々は価値観を変えなければならないだろうと思う。そうなれば、あらゆるものの価値観さえも変わってしまう。こうまで地球の変化が急激だとは思わなかった。我々は、あれが旨い、これが旨いと言ってきた。テレビも視聴率が上るのだろう、そんな番組ばかりを流した。「あ~ぁ、今日も家族で三食食べられてよかった!」という感謝も無くして、食べ物を粗末にした。私の子供のころは、キャベツの硬い芯も糠に漬けて食べていた。マーケットに行けば、白菜やキャベツの外側の葉を捨てる箱が置いてある。こんな勿体ないことが、続けられたのが不思議なくらいだ。胡瓜だって、家で料理するなら何もまっすぐでなくても良いはずだ。形、見栄えが悪くても味に変わりがあるわけではあるまい。「こりゃ~ぁ、売り物にならないから破棄だね、まったく途方に暮れるよ」と、ニュースなどで、農家の人が嘆く姿をよく観るが、なんでそうなるの?と、思ってしまう。
我々は、もう一度、原点を見つめ直す必要があるかも知れない。自然は、人間なんかに構っちゃくれない。一度美味い味を知ったから辛いだろうけど、全ての価値観を変えなきゃ生きられない時代が迫っているような気がする。