閉門即是深山 191
続・今、夢中で読んでいる本
このブログ3回も続けて浅田次郎著『天子蒙塵』のことばかり書いている。だって面白いんだもん!というのは、3点ある。
ひとつは、日本に中国の観光客が増えたからだ。彼らにとって日本は楽しく、華やかで、面白く映るのだろう。銀座、新宿、渋谷の東京の繁華街ばかりではなく、全国どこにでも中国からの観光客に出会う。祖父のふる里高松のメイン通りを歩いていても、日本人だと思って擦れ違うと中国語らしき言葉が耳に入ってくる。京都あたりはもちろんのこと、私が住む今や有名な街になった豊洲さえ、ほとんどが中国から来た方ではないかと思うほど大勢が観光、買い物している。最近では、あの人は中国の観光客だなと気がつくようになった。着ているファッションがバブルのころに海外に押し合いへし合い行っていた日本人とよく似ているからだ。
ふたつ目は、現在の政治である。内閣府の馬鹿げた可笑しさや東京都知事の変な行動が、あのきな臭かった満州国の成立建国物語を読むと何となく判りやすいからだ。またみっつ目は、祖父の菊池寛が日本に文藝春秋を創ったのと同じように、満州文藝春秋を創ったのだ。
簡単に言えば、喫茶店仲間の老人たちの会話に中国人旅行客の話がよく出るし、今の政治を憂いる話もよく出る。私の場合は、それに足して祖父の歴史が重なっているのに、近代中国の変遷の歴史を知らなかった。映画では『ラスト・エンペラー』を観て楽しんだが、この映画も歴史の中のほんの僅かの部分を切り取ったものだから、歴史を知ったことにはならない。中国は隣国であり、日本はかなりの影響を受けている。なんで声があんなに大きいの?何故トイレに並ばないの?何故路上で大きなトランクを開けてユニクロで買ったモノを詰め込んでいるの?と罵詈する前に、多少は中国の近代の歴史を知る必要があると思う。
喫茶店での楽しみのひとつに読書の時間がある。今、『天子蒙塵』の二巻目に入った。
講談社発行のこの単行本の帯には「北の嚝野で一人抗う男は叫び続けた。我に山河を返せ。ついに日本の軍部もその存在を知るところとなった天命の具体「龍玉」は今、誰の手に。」帯の裏には「謀略渦巻く満州の底知れぬ闇。父・張作霖を爆殺された張学良に代わって、関東軍にひとり抗い続けた馬占山。1931年、彼は同じく張作霖側近だった張景恵からの説得を受け、一度は日本にまつろうが──。一方、満州国建国を急ぐ日本と、大陸の動静を注視する国際連盟の狭間で、溥儀(著者註・最後の皇帝溥儀)は深い孤独に沈み込んでいた。」
最近出て面白い、ためになる一冊です!ぜひお楽しみください!