もうひとつのウニ漁
2013年9月26日
ウニ漁の解禁日
大ブームになった『あまちゃん』も間もなく終わり。この半年ほどの間、三陸の海とウニ丼にはずいぶんと馴染んだ。そんな夏のある日、陸前高田市の広田半島の小さな漁村で、ウニ漁の解禁日に行き当たった。漁港は震災で損傷を受け、復旧工事中なのだが、工事の完了までにはあとまだ1年以上かかる予定と聞いた。
漁は1日2時間。午前6時から8時と決められている。北の海女が素潜りでウニを採る「あまちゃん」の舞台「北三陸市(モデルは久慈市)」と違って、こちらでは漁師さんは潜って採ってはいけないのだそうだ。船の上から水中メガネでウニを探し、長い竹竿の先端のかぎ針を使って引き上げる。写真に写っている竹竿は、まだ水中に入っている部分もあって、全体では相当長い。それだけの深さの先にあるウニをひっかけて採るのだから、効率的なわけはない。おそらくは、資源の保全のため採りすぎないよう、あえて効率の悪い漁法に限定しているのだろう。
とはいえ、さすがはプロ。見ている間にどんどん長い竹竿を引き上げては、ウニを外している様子が岸からもよく見えた。
ところで、この前夜、漁港のすぐ近くの民宿に泊まって、夕食にはウニも出て、「地元ならでは」とよろこんで美味しくいただいた。それは良いのだが、その翌朝が解禁日だったということは、前夜のウニはどこから来たものだったのだろうか。
リアスの景色
港のすぐ側には神社があって、高台から海の上の漁師達を見守っているようだ。海のすぐ側に高台が迫る地形のため、港は津波の被害を受けたが、少し高台の地区は被害を免れた。津波が来たのは、この神社の石段の下の辺りまでだったという。とはいえ、岩手南部と宮城北部は一番揺れも激しかった場所だ。神社の狛犬が台座から落ちるほどだった。その狛犬も、いまでは起こされて高台から海を見守っている。ただ、台座の方はそのままになっていて、隣で転んだままになっている。漁港の復旧工事が竣工した暁には、こちらも元に戻っているだろうか。