閉門即是深山 499
コロナ後の功罪
私は、讃岐四国高松の菊池寛記念館の仕事で年に3、4回高松に出張する。以前このブログで書いたが、この10月の9日の祝日に高松へ行ってきた。年に1回市民のための講演会を開催するためだ。もう十数年続いている。故井上ひさしさん、林真理子さん、下重暁子さん、浅田次郎さん、阿刀田高さんや志茂田景樹さんにも行って頂いた。
高松市と記念館及び菊池寛顕彰会の催しものであるから、菊池寛に少しでも関係ある講師を選んできた。例えば、芥川賞や直木賞、菊池寛賞の受賞者や選者である。ハードボイルドの一人者で『新宿鮫シリーズ』の著者大沢在昌さんや、逢坂剛さんにも行っていただいた。菊池寛をテーマにした作品の著者であり、当時副都知事だった猪瀬直樹さんにも行っていただいた。
毎年毎年著名な方々に行っていただくのだが、だんだん知り合いが減ってくる。ご自身も直木賞受賞者で後に選者になった『鬼平犯科帳』の著者の池波正太郎さんや、渡辺淳一さん、石原慎太郎さんにも行っていただきたかったが、お亡くなりになったので、お願いすることが出来なかったのが悔やまれる。
今年は、先のブログで書いた通り、人間国宝の講談師神田松鯉に行って頂いた。
師匠は、耳がお悪い。普段つけている補聴器と対談用の補聴器をいつも携帯している。なので、講演と菊池寛作『恩讐の彼方に』の講談後の対談が心配だった。お互いにマイクは持っているし、高松の菊池寛記念館には、師匠のお耳の件は伝えてあり二人の椅子をいつもより近づけておいてもらった。
会場は、高松駅のすぐそばでコロナの前はサンポートの350名客席のあるホールしようしていた。が、このホールも機械等直す時期だった。ゆえに、その向かいにある国際会議場で今回開催された。サンポートは、客席スタイル、映画館のような段差のある会場だが、国際ホールは、多目的用に作られている。客席の前には各々テーブルがあった。その分、お客様の席が少なくなる。高松・菊池寛記念館から2週間で定員300席の予約が埋まったと連絡があった。コロナのせいで、いろいろなイベントが出来なくなったのも満員御礼の理由になったのだろうが、地方で人間国宝の講談を聴けるなどめったに機会がない!後は、天気だけが心配だった。
朝、東京駅は雨!どうも西のほうも雨の予報だった。雨は、イベントの開催の時の一番の心配事だ。師匠は、飛行機で来高すると言う。私は、いつも新幹線を使う。朝早い新幹線だったが、各車両95%は、外人観光客で満員になっていた。それも、京都で下車するのは僅かで、終点岡山まで行くらしい。コロナで外人観光客の感覚も変わったようだ。
朝9時3分発の“ひかり”に乗り岡山でスカイライナーに乗り換え高松駅に14時5分に着いた。お客様の入場開始は、15時だった。空港から師匠が公用車でホテルに着いたのと同時だった。ロビーで慌てて打ち合わせをして会場に向かった。満席だった。予約を終了しても、何とか入れないかと市民から毎日電話が入ったようだ!人間国宝神田松鯉師匠の『恩讐の彼方に』は、圧巻だった!終わって打ち上げの食事をしていると、職員から一報が入った。お客様からのアンケートによると“最高の一日”だったようだ!