桑田とサザン | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

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桑田とサザン

実は、私は以前桑田佳祐とサザンオールスターズをあまり好まなかった。
加山雄三も同じで、何か湘南の宣伝役としているようで、自分が若者の代表なんだと言わんばかりに私の眼に映っていたのかも知れない。
加山雄三の燃えてしまった有名なヨットを題名にした曲は、反吐が出るほど嫌いだった。ヨットを持てるほど「どうせ、あんたは、大金持ちでしょうよ!」私の頭に過る。金持ちは、いいけど、ひけらかすのはやめて欲しいね!それで、大島や太平洋に浮かぶ島々をめぐって、偉そうに!私の嫉妬である。彼の映画は、観なかった。テレビで歌いだすと、チャンネルを変えた。どうせ、あんたはイケメンで、有名な大スターだよね、あんたなんか大嫌いだよ、金持ちだったら困った人のために寄付をするか、黙って金塊でも擦っていて欲しいよ!
私が67歳の時に、学生時代の残党を集めて昔の名でバンドを作った。中のひとりは、個人営業だったから年金も国民年金で少ない。「そうだな、どうせカラオケが好きだから生オケが出来るからやるよ!彼が言った。彼の生オケバンドが出来た!しかし、嫌なことに彼は『光進丸』や『君といつまでも』、『お嫁においで』『母よ』が好きでドラムを敲かされた。
『母よ』は、加山の母、女優の小桜葉子をイメージしたのか、父は、有名な俳優上原謙、上原謙は、1935年に五所平之助監督のもと俳優佐分利信や佐野周二と「松竹三羽烏」と言われていた。映画『浅草の灯』や『愛染かつら』で主役を務めた。
上原は、オーケストラの指揮者としても有名だった。色男の見本だったのだ。いいよね、そのまま努力もせずに親父さんを継げるひとは!ますます嫌いになっていた。加山雄三の歌は、まだ国民が貧乏だった時に、「どや、お前たちも俺みたいに金持ちになって光進丸でも買えるようになれや!」そんな香りが漂っていた。

時代の変化か?日本語を英語のようにして歌う桑田佳祐も何か加山に通じる印象があった。トラウマである。何で桑田佳祐とサザンオールスターズなんだ?最近、私の心に変化があった。加山が歌うウワベだけの歌詞とは違い、桑田の歌詞は人間の、昭和の日本人の本当を突いているのだ。全てが桑田の策略で出来ている。画家で言えばピカソと言っても過言ではないだろう!あれ、これ桑田本人が書いたの?それとも、奥さんの原田さん?もしかしたら、桑田佳祐の描きたい世界観を奥さんの原田さんが、ほんのちょっと補完しているのではないだろうか?多くの人間の、または男の、そして女の心の中を全て吐き出させ、それを嫌らしく感じさせないのが、彼らの魅力なのだろう!

私のスマホに今『エロチカ・セブン』や『いとしのエリー』『勝手にシンドバッド』『TUNAMI』『東京VICTORY』『メロディ』『シャ・ラ・ラ』『真夏の果実』『涙のキッス』『慕情』『愛の言霊』あと何曲か入っている。『盆ギリ恋歌』と『マンピーのG★SPOT』を最近加えた!ああ、歌の曲の芸術家サザンたちよ!