暗いニュースばかり、ちょっと宣伝! | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 485

暗いニュースばかり、ちょっと宣伝!

エンジェルスの大谷くんの活躍は、素晴らしい!初回、自分でホームランを打って、投げては三振の山を築く。テレビのニュースでは、大谷くんがホームラン兜をかぶった写真とサイン入りの地赤と地白のTシャツが発売されたという。
私がオフィスに入る前に立ち寄る喫茶店でその話をすると、俺も欲しい!俺も買いたい!とお客の中から声がする。ほとんどが70歳代である。まぁ、還暦を過ぎているから赤のTシャツを着ても悪くないとは思うが、似合いそうもない。70歳代の爺どもが、真っ赤なTシャツに大谷くんが兜をかぶった顔の入ったTを着て並んで歩く姿を考えると、英雄大谷くんに悪いような気がする。

他のニュースは、わけのわからぬ話ばかりで、ロシアの内戦、あれはいったい何?また、私の古巣の週刊誌が芸能界を震撼とさせた。ジャーナリズムを名乗るのに、歌舞伎役者や家族を悩ませ、死に追い込んではいけないことは、いっぱしの編集者ならわかりそうなはずだ。私は、確かに週刊誌は「井戸端会議の延長」だと思っているが、もっと社会性のある題材を扱うべきで、有名人と言っても古典芸能に力を注いでいる人に、パワハラだのセクハラだのと追及してどうする。日本の宝澤瀉屋が無くなるかも知れないし、名優猿之助の名が終わるかも知れないのだ。たぶん、編集部は成り行きが死に至るとは思っていなかったに違いない。が、今の時代人間の精神力は、昔ほど強くないのだ。戦火を潜り抜け、目の当たりに家族が死んでいく姿を見ながら自分が生き残ろうと藻掻いた時代とわけが違う。世に影響が大きい人たちや、大会社の不正を暴くのとわけが違う。編集者は「もし自分だったら絶対にやらないことだ」と自信を持てることを記事として出すか否かのスケールを決めるべきで、何も考えずに売り上げを伸ばすためならば、記事の影響による人の死に、ある責任を持たなければ大人とは言えない。私の祖父が苦労をして創った出版社だけに、記事を載せたことが残念でならない。

さて、年に一度暮れに菊池寛賞が発表される。菊池寛生前は、違う形の賞だったが、1952年昭和27年から再開、菊池寛が35歳ころから59歳で逝くまでに残した功績を讃えつつ彼が努力した分野、例えば文学、ジャーナリズム(放送、新聞記事等)、演劇・映画など、その一年でもっともすぐれた人や団体に贈られる賞になり続けられている。同じ菊池寛賞でも、彼の郷土香川県にも香川菊池寛賞がある。1965年から始められたから歴史は古い。文藝の新人賞といったところか。毎年1回作品募集で受賞者が決まる。私のところにも作品募集要項のパンフレットが送られてきた。表紙には祖父の名言「原稿用紙に向かふことは創作の単なる仕上げに過ぎない」と刷られている。主催は、菊池寛顕彰事業実行委員会、共催は高松市、高松市教育委員会、菊池寛顕彰会。後援は、(株)文藝春秋、RNC西日本放送、NHK高松放送局、KSB瀬戸内海放送、四国新聞社と錚々たるメンバーだ。応募資格には、香川県在住又はゆかりのある方、通勤、通学、とハードルがある。応募期間は、7月1日~10月10日まで。
詳細は、菊池寛顕彰事業実行委員会「香川菊池寛賞係」→こちら