BSテレ東と紫綬褒章作家の本 | 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

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BSテレ東と紫綬褒章作家の本

私が赤坂オフィスに行く時、日に1、2度立ち寄る喫茶店のことは、今まで何度も書いてきた。そこが先日BSテレ東(BSテレビ東京)の取材を受けた。喫茶店なのに、カレーが旨いと定評の店が採用のきっかけらしい。番組は、BSテレ東【飯尾和樹のずん喫茶】というらしい!勝ち誇ったようにオーナーのマスターが満面の笑みで誰彼と話している。

放映は12月23日金曜日の23時からだと言う。
「常客には言えないのですがね、本当はあなた様のような爺ばかりの集まり所にしたくは無かったんですよ、女性たちの憩いの場にしたかったんですが、前のオーナーからのお客さんとなれば鍵もかけられない、カウンターの中から見張っていて爺常連客の姿を見つけると電気を消して、私はカウンターの下に隠れるんですが、常連さんの爺たちは、それでもこじ開けて入って来る。私は、もともと爺が嫌いなのは常連さんも知っているはずなのに来ちゃう!私は、もともと加齢臭が嫌いなのを常連さんも知っているはずなのに来ちゃう!それじゃあ私の理想の店は出来ませんよね。でも、テレビ番組でやってくれれば、お客様は、女性ばかりになる。爺が来れば、今日は、カレーもコーヒーも売り切れました。と言って返したい。夢の実現は、大切です!ボクは、喫茶店経営や爺どもが美味しいと賞賛する珈琲豆選び、珈琲の入れ方などを講演していますが、爺は、嫌ですねぇ!」

飯尾和樹さんは、お笑いコンビ「ずん」の呆け担当で、最近はどのチャンネルを開いてもニュースとスポーツ番組以外かならずと言っていいほどに出てくる。私たち爺は、このテレビ出演の情報を疑った!不衛生だ!そりゃフェークの間違いだ!フェークってなんだ?ナイフと対で使うやつだ!そりゃフォークだ!大谷のフォークは凄いな!

ところで、何の話し合いだったっけ!だいたいあの店が取材されるわけがない!きっと誰かが、加齢臭とカレーを間違えてテレビ局にチクったんだ!ここは、俺たちのもんだ、バリケードを作ろう!ウクライナのことを思ってテレビ局を排除しよう!もし、この店が若い女性客でいっぱいになったらどうする!当然、マスターは俺たちを余所者扱いにするだろう!俺たちは、行く場を失い、雪の降る寒い日に赤坂神社の境内で凍え死なねばならない!邪魔しよう!決起集会だ、えぃえぃオー!まるで忠臣蔵の討ち入りの場面を観ているようだ!

私も仲間だが、珈琲を飲みながら大沢在昌さんの新刊本『新宿鮫Ⅻ 黒石(ヘイシ)』を読み始めていた。光文社の近刊である。シリーズ最凶最悪の殺人者冷酷な敵【黒石(ヘイシ)】は、リーダーを決めずに活動する地下ネットワーク【金石】の乗っ取りを企む誰かから殺人命令が下る。ネットワークのひとりが保護を求めてくる。戦慄の手段で殺し続ける殺人者に新宿鮫が挑む!最高に面白い、面白いし、美味しい珈琲なのに、爺どもがうるさい!私も爺常連のメンバーだが、この瞬間だけは、この爺達地下組織を皆殺しにしたくなった!どこかにヘイシは、居ないか?
因みに、いや、混みだしたら困るので書きたくないが、この店、cofee stand ニューセム(NEW SEM) は、赤坂サントリーホールの大路を挟んで向かいにある。

【飯尾和樹のずん喫茶】(BSテレ東)
https://www.bs-tvtokyo.co.jp/zunKissa/