閉門即是深山 447
ビッグバンドを背景に
朝オフィスに入る前に、かならずと言っていいほど煙草と珈琲とお喋りが出来る喫茶店に入る。
オーナーママにお孫さんが出来、また肩の骨を折ってしまったことがきっかけで、ママの友人で珈琲に詳しいマスターが引き継いでから4,5年くらい経つだろうか。彼が作るランチ用のカレーが大評判で「俺が食ったカレーで一番美味い」と云う客が現れるほど、カレーも美味い!
もちろん珈琲の美味さは天下一品で、彼は有名珈琲輸入卸メーカーから講師を頼まれるほどだ。どの席でも煙草が吸える。私は思うのだが、珈琲と煙草はワンセットなのだ!なければ仕方なく入るが、珈琲を飲みつつ喫煙所に入って煙草を吸うなんて、珈琲も煙草も馬鹿にし過ぎていると思う。煙草が嫌いな人は、入店しなくていいですよ!この店は、昔からそう言っている感じがする。
オーナーママだった旦那さんが、美味しい珈琲と煙草が好きで、こんな素敵な店を作った。ご亭主を失ったママは、だいぶ頑張ってこの店を維持してきた。私も通い出して10年以上経つ。そして、今がある。
オーナーが変わって美味いカレーが追加されたニューセムは、良い客層のたまり場になっている。互いに仕事も住んでいる場所も知らない。それが、また良い。昔から、この店で知り合った仲間に加えて、今のオーナーマスターに紹介されたお客人の中に今朝、久しぶりに会った女性が朝の珈琲を楽しんでいた。
ここは、20人強でいっぱいになる。今日は、珍しく朝から混んでいた。いつも私が好んで座る席が2カ所あるが、そのひとつに彼女は座っていた。
私は行ったことが無いが、赤坂でJazz Live Barを営んでいるらしい。このコロナ騒ぎで、夜のお客を断らねばならないころに昼のランチをやり始めたと聞いた。今、ランチを続けているかどうかは知らない!爺友たちの話では、マスターを入れて大挙して店に行ったことがあると聞く。小さな店らしいが、ピアノ、ギター、ウッドベースにバスドラ無しのドラムが置いてある。プロの中には、時々フルセットのドラムを持ってくるのよ、と女性は言った。
彼女は、歌手でスタンダード・ジャズを歌っているらしい。たまには、楽器を含めてアマチュアが飛び込み参加をすると言っていた。
彼女は、先日六本木のジャズ・ライブハウスでショーをした。誘われたが、土曜日だったので遠慮した。長い間編集者をしていると、土日祭日が無くなってしまった。とりあえずの引退で休みは家人と共にいようと私は決めたのだ。家人と一緒の行動なら良いが、値段もわからずに聴きに行くのが怖かっただけだ。彼女としばらく音楽談義になった。先日は、大きな所でビッグバンドとコラボしたらしい。ほとんど土日や連休がとれなかった話を彼女に伝えたら、わかった!と言う。土日祝日以外の時にマスターと一緒に誘うわと言われた。ジャズは好きだ。「ヘイ!喜んでぃ!」の気分になった。