筋電メディカルの効用| 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 373

筋電メディカルの効用

先週の続きになる。京大の名誉教授森谷先生が命名した筋電メディカルは、今年75歳、後期高齢者の仲間入りをする私には、大切なものとなった。躰の弱った老人への福音とも言える。

まだ、私は自分の足でどこへでも行けるし、先日自動車免許を更新した際も認知症だ!とも言われなかった。が、いつ車椅子に座らなきゃならないかも知れないし、ここは何処?私は誰?と言い出すかも知れない。そうならないためにも、今、筋肉を鍛えねばならない。

どうも、筋肉と脳は神経で繋がっていて脳からの命令(刺激)で、筋肉が動くと聞いた。もちろん筋肉には随意筋と不随筋があるのは、中学か高校の理科の授業で聴いている。脳が自分の意志で筋肉を動かす、例えば、散歩をする。食事を摂る。本や映画を見る。音楽を聞いたり、奏でたりする。手や足、首や口や目を動かす。この役どころをする筋肉と、寝ていても、気を失ったりしても、心臓や肺、体内の臓器は、脳で意識をしなくても動く筋肉の2種類あることは、皆学校で学んだことである。

脳と躰を動かす筋肉が神経で繋がっていれば、その逆も考えられる訳だ。脳の衰えを感じてきたら、筋肉を鍛えれば良い理屈なのだが、多少の散歩や体操ぐらいでは、筋肉を鍛えられないらしい。強いというか、高いというか、大きいというか、それなりの負荷を筋肉に圧力をかけねば、脳を刺激するだけの筋肉は期待出来ないらしい。しかし、後期高齢者になって、全速力で100メートルを走ったり、200メートル、400メートルを走るなんて、ずっと続けてきたアスリートで無い限り無理な技といえる。

私は、運動不足と認知症予防と楽しみのために67歳からドラムを始めた。以前、この話は書いたが、学生の頃にバンドを組んでいて、アルバイトで大枚を稼いでいた。が、時代は変わった。楽器を持っているだけじゃ、アルバイト料はくれなくなった。なにもお金の為に始めたわけではないが、どうせやるなら上手くなりたい。前途洋々の若者ならば、仕事や趣味の選択肢はいくらでもあると思うが、老人は、早く決めて、早く始めて、早く上手くならなくてはならない。

18歳で自動車の免許を取得してペーパードライバーでも、いつ運転するようになるか判らないが、後期高齢者になると免許を取った瞬間運転が覚束なくなるのと同じだと思う。しかし、ドラムの練習を週2回以上3時間くらいやっている私でも、脳を鍛えるだけの筋肉は出来そうにない。

そこで、筋電メディカルの考えに沿った道具が必要なのだ。電気が筋肉を刺激し、筋肉を強く、良い筋肉に鍛えてくれる。寝たきり老人でも出来るわけで、車椅子を使っていた老人でも筋肉が鍛えられ、杖要らずの身になるやも知れない。また、筋肉を電筋メディカルの考え方で動かせれば、脳の鍛錬が出来、認知症にならずに済むかも知れないのだ。

当然私の周りに年寄が多い。皆、何かを抱えている。生活習慣病である高血圧症や糖尿病、肺気腫や癌、脳溢血になりリハビリの最中の友人もいる。バンドの5人の仲間も毎年ひとりづつ癌の手術を受けている。森谷教授の作る器具があれば、皆救われるわけだ。早く、先生の満足のいく器具が出来れば良いと思っている。どうもこの秋が楽しみなようだ!