閉門即是深山 363
ふるさとと文学
謹賀新年!
私の手元に一枚の紙があります。その印刷された紙は、私も入会している一般社団法人日本ペンクラブから届いた案内状なのです。読者の皆様に読んで差し上げましょう!『一般社団法人 日本ペンクラブ シリーズ企画 ふるさとと文学・・・とは』が題名です。
「日本の各地に、文学のふるさとがあります。物語が生まれた村や町や都市。詩歌が育った地域。作家やアーティストが生まれ育ったところ、作品の舞台となった地方もあります。しかし、いま・・・。景気低迷と人口減少のあおりを受けて、町の本屋さんが次々と消えています。図書館の予算も十分ではありません。通りから人の息遣いが消え、町全体がひっそりしていませんか?子どもたち、若者たち、大人たちよ。スマホは便利だけど、現在しかわからない。本の世界には過去があり、未来があり、何より想像力がある。物語のなかでは、きみと同じ人間、あなたに似た人が生きている。日本ペンクラブのシリーズ企画《ふるさとと文学》は、作家と作品に〈ふるさと〉と〈歴史〉と〈現代〉の光を当て、映像と音楽と語り、朗読と討論でライブ・ステージ化する文学の饗宴です。村よ、町よ、都市よ、元気になれ!」折られた一枚の表紙を読みました。2頁と3頁は、長いので、ここに収まり切れませんが、はしおりながら読んでみましょう。
「●…私たちが《ふるさとと文学》企画を立ち上げたのは2015年、日本ペンクラブが創立80年を迎えた年だった。眼前には、復興にはほど遠い東日本大震災の被災地や、東京一極集中の背後で景気低迷や過疎化に苦しむ各地の光景が広がっていた。文学や、さまざまな表現活動に携わる私たちができることは何か。議論はそこから始まった。
●…日本近代文学の担い手たちの多くが地方で生まれ、作品の舞台となったのも各地の町や村だった。読者も、住んでいる地域や図書館で本を手に取って未知の世界へ引き込まれていった。そこで得た知識が想像力を刺激し、土地土地の知力として蓄積され、そこを土壌にしてまた新しい文学や文化も生まれ、その地に生きる人たちの活力にも、誇りにもなっていった。(後略)」そして、第1回『島崎藤村の小諸』、第2回『石川達三の秋田』、第3回『川端康成の伊豆』、第4回『菊池寛の高松』、第5回『立原道造の浅間山麓』と、これまでの内容が続く。
出演者もペンクラブ倶楽部員が多く豪華である。井出孫六、下重暁子、人間国宝の講談師神田松鯉、片岡一郎、森ミドリ、西木正明、壇蜜、浅田次郎、ドリアン助川、樹木希林、ベルリン交響楽団ソリストの佐藤久成、中村敦夫、小池真理子、加賀乙彦たちの舞台は、圧巻でした。
さて、今年と言うか昨年の暮れ《ふるさとと文学2020》は、『北條民雄と多磨全生園』コロナ禍で大きな舞台で無観客、You Tube配信で行いました。
https://japanpen.or.jp/furusatotobungaku06/
6月18日、ちょうど6か月ぐらいは、どなたでも観ることが可能です。
『私の眼には二千年の癩者の苦痛が映つてゐるのだ。この長い間の歴史的存在を、僅か三つや四つのヘッポコ小説でけりにしてしまって、それでいいのか、と私の頭は考へねばゐられないのだ。』(柊の垣のうちから)川端康成が愛してやまなかった北條民雄の文の出だしだ。