閉門即是深山 234
権力
権力を持つというのは、実に恐ろしいことであると思う。
持つ者の力量が試されるばかりではなく、人間的質も品も試されるからである。
5月6日に日本大学と関西学院大学のアメリカンフットボールの定期戦が東京で行なわれた。そのゲームで日大の選手が、無防備な関学の選手に背後から激しいタックルをした。タックルされた関学の選手は、負傷したのだ。実に危険な反則行為で、立ち直れない怪我を誘発することもある。悪質である。やった選手は、ルールを知っていたはずだし、日頃の練習の中で、何が危険であるか承知のはずだから、どんな言い訳があっても許されないだろう。大学生は、もう大人なのだからスポーツの精神を弁えなければならない。このニュースは、新聞の一面を飾ったし、テレビのニュースでも毎日のように報道されたから、御存じだと思う。加害者の選手は、実名を出して謝罪した。その勇気は、尊敬に値する。
問題は、日本大学の対応だった。事実は、映像として明らかなのに、のらりくらりとしていた。事件後、2週間近く何もコメントを出さなかった。特に、日大アメリカンフットボールの内田正人監督は、やった選手に全ての罪を擦りつけた。「責任者として、全責任は私にある」など、無責任な発言をしている有様を見ると、権力欲の塊のように見える。「私は、全ての責任を取って監督を辞める」と言うが、日大の要職である常務理事を辞めるとは、言わなかった。常務理事は、辞めたくない!監督なんて、いつでも辞めてやる。みたいなコメントにうんざりとした。内田監督の記者会見の席上、ある記者が「日大常務理事は、辞めないのか」と聞いた。内田監督は、しゃーしゃーと「関係が無い、辞めない」と、返した。可笑しな話である。学び舎の大学にいる教授や理事は、これから世に出て行こうという学生諸子に、不正をさせないよう、ルールを守るよう、ちゃんとした社会人になるように教えていく役目を担っているのではないか?反則を指示したり、反則を肯定したり、また反則を見て見ぬ振りをするような人間に、理事、特に常務理事の要職に就く素質は無い。権力にしがみつくようなみっともない姿をさらける“権力の虜”を日大が許せば、日大も鼎<かなえ>の軽重を問われることになるし、大学としての未来は無い。
権力を握ると、未来永劫権力を持ち続けていたくなるのだろうか?米大統領もロシア、中国、朝鮮半島の彼の国も、権力を保持したい欲の皮のつっぱった人間ばかりが目立つ。モノが有り余り、衣食住に苦労が無くなると、哀れな人間は、権力が欲しくなるのだろうか?品の方が、大切なのも忘れてしまって!日本は、もっと悪い!加計問題、森友問題との疑惑があっても、権力に未だにしがみ付いている人間がいる。「諸行無常」を知ってもらいたいものだ。