閉門即是深山 231
ドラムとアラモ
変なタイトルを付けてしまった。
今年は、花粉症が酷かった。何年も永い間花粉症に苦しめられてきた私でも、堪え難い量の花粉が舞っていたからだ。ピーク時に例年だったら250個くらいの花粉の量が、1000個以上あったとニュースで言っていたから、4,5倍の量だったのだろう。ただ、桜が早く咲き、早く散り、ツツジやサツキが、例年より早く咲いたように、花粉症もだいぶ早く終わった。終われば、くしゃ目も、眼の痒いさも、鼻水も鼻詰まりも、忘れたようにケロり、と治る。
花粉症から解放された頃、私がドラムスで参加しているふたつのバンドの今年前半の活動が決まった。6月にライブ、7月にある病院の暑気払いパーティーライブ、そして、8月後半にある商店街の路上ライブである。練習の目標が決まったからには、とふたつのバンドは、いつもの月イチの練習を月2に変えた。
ドラムスと書いたが、太鼓の複数形ではない。ドラムセットの略である。ドラムスは、アメリカの建国したころに生まれたらしい。多くの国からユートピアを目指して集まって来た人たちが、それぞれの国から楽器を持ち寄った。ドラムスは、大きく分けると、太鼓とシンバルに分けられる。良く敲く太鼓に、スネア・ドラムがある。また、正面に置かれ、ペタルを踏んで足で敲くバス・ドラム(大太鼓)がある。ドラマーを囲んで小さいモノやら大きなモノ、タムタムがある。このタムタムは、その名前の通り南洋の国々から来た太鼓であろう。先に書いたスネアやバスドラムは、鼓笛隊が使っていたように思える。軍隊の有り様は、ナポレオンによって完成されたという。ナポレオン率いるフランスの軍隊も、絵画から推測すると鼓笛隊を持っていた。スマホや携帯、トランシーバーなどの伝達機械の無かった時代、指揮官の命令は、鼓笛隊の音の変化で伝達されたらしい。野球の監督が選手に指示を与えるように、またキャッチャーがピッチャーにサインを送るように、昔は音で指揮官が命じたようだ。
子供の頃『アラモ』という映画を観た。好きで数回映画館に行った覚えがある。サンタ・アナ将軍が率いるメキシコ軍を数日でも持ちこたえようと、ローレンス・ハヴェイ扮するトラビス大佐の部隊がテキサスの小さな教会を砦として閉じこもり、命をかけて守り抜く話だ。傭兵ジム・ボーイは、リチャード・ウィドマークが演じた。そこへ援軍として若い青年をひとり連れたジョン・ウェインのディビー・クロケット大佐が入ってメキシコ軍に立ち向かう。数多いメキシコ軍は、鼓笛隊のドラムの音で隊列を組んだ。日本で言えば『忠臣蔵』のような映画だった。後年、ビデオも買ったが、肝心のデッキが、今や無い。