ジジ・ババ| 閉門即是深山(菊池夏樹) | honya.jp

閉門即是深山 166

ジジ・ババ

このブログでお馴染の赤坂溜池山王にある喫煙が許されている喫茶店ニューセムに集まる仲好悪童、いや悪老人どもの話である。

「こんど、65歳以上の年寄りを准(準)老人というそうよ」私と同じくらいのM女史が言いだした。
「そうそう、75歳以上が老人、90歳以上を超老人というんだってね」男性のM氏がつけたした。なにしろジジ・ババの悪童老人たちの頭文字がMばかりで困る。私だけがKで疎外感がある。
「どうも年金問題があって、そう名付けることに決まったそうなのね」女史が男性M氏の言葉を受けて足した。
私は「そりゃおかしいよ、超老人なんて日本語はありえないもの」と口を挟んだ。「一時、チョーという言葉が若者の間で流行ったけどね、あの使い方が間違っているんだよ」私は言葉をつけたした。
チョーカッコ良い!とかチョーカワいい!ならばまだしも、チョー美味い!とはどういう意味か?「超」とは、「超えている」という意味の言葉だから「美味しい」を超えるとどうなるのだろうか?それよりも「超老人」とは、化け物ではないか。「老人」を「超えている」わけだから、化け物か仙人か。准の字か、準の字をあてるか知らないが、准(準)老人も可笑しい。次に老人になりますよ~!てなことだが、それでは老人ではないといっているのと同じだ。政府なのか官僚なのか、国がよく分からない言葉を生みだしたものだ。

じゃあ、どんな言葉にすりゃいいのか、悪童老人たちは考えた。私は「金・銀・銅じゃどうかな」と提案した。男性のM氏が「それじゃ、オリンピックじゃないか」という。法律が決まり施行されるまでには時間がかかる。ならば東京オリンピックを記念して、2020年から90歳以上を金老人、75歳以上を銀老人、65歳以上を銅老人とする。なんて言われれば納得しちゃうかも。と私は頭の中で考えた。男性のM氏は「老人をシルバーっていうから、それもいいかもね。ゴールド・ピープルなんちゃって」と言ったが「ここは、日本です。英語圏ではありません!」ピシャリと女史に言い返されてしまった。
そして、女史の次の一言で私の提案「金・銀・銅」は却下されてしまったのである。「ねぇ、Kさん!金老人の金さん、金老人の銀さん、なんて洒落にもならないでしょ!」

悪童老人たちの会話は面白かったが、なんで政治家や官僚たちは馬鹿なことを考えるのだろうかと思う。